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試合レポート

勝ちたい思い実らず。手負いの柏にも敗れ6連敗に

 

勝敗を分けたのはPKだったが、それ以前の試合内容にも課題が見て取れた。チームコンディションに難を抱える柏との“逆盾矛対決”に敗れ、片野坂監督体制ワーストの6連敗。問題点の特定はさらなる急務だ。

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徐々に相手に勢いを回復された前半

ともに得点力不足と失点続きの課題を抱え下位に沈む同士の、いわば“逆盾矛対決”。大分にとってはひさびさの、順位の近い相手との直接対決でもあった。
 
新型コロナウイルス陽性判定の4名と要再検査の1名が試合に関われない柏は、今季初完封で勝利した前節・G大阪戦から先発3人を、大分は2人を入れ替えてスタート。3-4-2-1同士、ガチガチのミラーゲームで激突したが、立ち上がりからそれぞれに好機を生み出した。
 
大分が3分に小出悠太、松本怜、町田也真人の連係で右から攻めてクロス。4分には左から高畑奎汰のクロスに髙澤優也がワンタッチで合わせたが、シュートは枠の左に逸れた。9分には柏。江坂任の縦パスを受けた呉屋大翔が反転シュートするが、こちらは枠の右へ。
 
立ち上がりの勢いが落ち着くと、一時は大分がボールを握り柏が構える構図で膠着状態に陥ったが、それを打ち破るように柏が22分にビッグチャンスを築く。大分を押し込んだ状態から揺さぶりをかけ、最後は呉屋の落としを椎橋慧也がシュート。クロスバーに弾かれて大分としては命拾いしたが、形の上では完全にやられていた。
 
ここから柏は勢いを増し、持ち味のダイナミックさを取り戻して主導権を引き寄せる。29分には神谷優太が個人技で左サイドを突破しクロス。中には合わなかったが、その後も柏優位の時間帯が続いた。大分は相手DFラインと駆け引きする髙澤への長いフィードを多用するが、セカンドボールを相手に拾われ次の展開へとつなげられない。中に縦パスを入れればインターセプトやデュエルで奪われて柏が得意とするカウンターを受けたり、サイドを切り裂いてもクロスが跳ね返されたりと苦しい展開に陥った。セットプレーのチャンスもものに出来ない。

 

一度は弾いたPKだがこぼれ球を押し込まれる

互いに精度不足を露呈してスコアレスで折り返すと、後半開始と同時に大分は髙澤を伊佐耕平へ、高畑を香川勇気へと2枚替え。相手の右CB川口尚紀が小林成豪の個人技を警戒して寄せてくる、その背後で起点を作ろうと、2人の特長に期待しての交代だった。
 
47分には柏。神谷の左CKに上島拓巳が頭で合わせたが、坂圭祐がしっかりと寄せ、枠を捉えさせなかった。大分は51分、チームの狙いどおりフィードに反応して左サイドに流れた伊佐がクロスを入れるが、キム・スンギュにキャッチされる。
 
浮上のきっかけを掴みたい同士、水中でもがくように激しい攻防を続ける中で、52分、エリア内の競り合いから坂がハンド判定。神谷のPKは一度は高木駿が弾き出したのだが、誰より早くこぼれ球に詰めた江坂に押し込まれてしまい、柏に先制を許した。
 
64分には右サイドを突破した北爪健吾のクロスに呉屋が合わせたが、高木がファインセーブ。その後のCKもゴール前で跳ね返したが、デュエルで上回られる大分はミラーゲームでペースを挽回することが出来ない。片野坂知宏監督は69分に松本を井上健太に、小出を刀根亮輔に交代。刀根が3バックの中央に入り、坂が右CBに移動した。
 
井上のスピードを生かした仕掛けや坂の高い位置での攻撃参加から79分、香川のシュートがミートしきれなかったところを伊佐が強引にオーバーヘッドシュートしたが枠は捉えきれず。84分には左サイドを起点に出し入れする辛抱強いポゼッションを続けた中で、チャンスを見出した下田北斗が縦パスを入れ、抜け出した小林成が左足を振り抜いたが、これも右に逸れた。

 

勝敗を分けたのはPKだがそれ以外にも課題はあった

全員で追撃する大分だが、柏の守備も堅い。89分、ネルシーニョ監督は一気に4枚替え。椎橋、呉屋、神谷、川口を三原雅俊、細谷真大、高橋峻希、イッペイ・シノヅカに交代し、布陣に最後の強度を与えた。
 
その直後、今度は上島がハンド判定。まさに柏の先制場面と裏返しの状況で、大分に同点のチャンスが転がり込んだ。これを決めれば連敗をストップする可能性が高まる。その重責を自ら背負いに行ったのは、このとき唯一のFWとしてピッチに立っていた伊佐だった。
 
だが90分、伊佐のキックはキム・スンギュの右手に弾かれる。町田が全力でこぼれ球に詰めに行ったが、大分の選手より大勢でなだれ込んだ柏の選手たちに、混戦の中で掻き出されてしまった。アディショナルタイムには長谷川雄志を小林裕紀へ交代して最後に懸けるが、下田の速い左CKにニアで合わせた三竿雄斗のヘディングシュートもキム・スンギュに阻まれた。
 
なんとか追いつきたい大分と、1点を守り切りたい柏の泥沼の死闘。だが、大分にとって1点は遠く、無念のタイムアップとなった。6連敗は片野坂監督体制ワースト記録。4試合連続無得点は深刻だ。まだリーグ戦序盤とはいえ、4チーム降格という現実がその先にある今季、順位の近い相手に勝点3を持っていかれたのも痛い。

 

悪い流れを断ち切るにはリスクを負うエネルギーも必要

チーム全体が悪い流れにのみ込まれているような連敗の仕方だ。今季覚悟をもってバンディエラナンバーを背負った生え抜きFWのPK失敗にとどまらず、キャプテンで守護神のキャッチミス、ようやく怪我から復帰したDFリーダーのアンラッキーな失点への絡み方。過去にも高木のミスや鈴木義宜のオウンゴールは多々あったが、こうも連敗につながると、チームのメンタルも気がかりになってくる。
 
選手たちからもコーチ陣からも勝つための工夫を施していることは感じられて、それぞれにそれなりの内容向上にはつながっているのだが、肝心の勝点という結果に還元されるに至っていないのが苦しいところだ。
 
また、後半から出場した香川は、昨年の怪我以前に比べると明らかに動きがぎこちなく、まだコンディションが十分に上がりきれていないように見えた。連戦の中で戦力のやりくりも厳しいようだが、ここを乗り越えなくては今後の浮上はない。
 
試合後、長谷川は「もっと中を使えれば」と打開策を口にした。カウンターを警戒して中を使うことを禁止されているわけではないという。実際、下田や町田らが中を使う場面は以前より増えており、チャンスにつながってもいる。ただ、連係や連動の不足も感じられるのが現状だ。連戦の中、対相手戦術の落とし込みでいっぱいいっぱいなのかもしれないが、共通認識を高めていきたいところ。新加入選手がチームの言語や文脈を理解しプレーに落とし込むまでには相応の意識が必要だし、新加入選手を理解するのも同様だ。
 
中盤でのロストが多い現状を考えるとカウンターリスクは覚悟しなくてはならないが、逆にいまリスクを負って積み上げることで次につながるものもあるかもしれない。勝てない状態が続くと、大崩れしないためのリスク管理がプレーの萎縮へと裏返ることもある。2016年以来、やはり苦境に陥ったとき、チームは何度も戦術レベルからアグレッシブさを取り戻すことでそれを乗り越えてきた。
 
片野坂監督は試合後、「今後われわれがどういうふうに戦っていくかというところで、次がすごく大事になると考えている」と話した。中3日で迎えるルヴァンカップFC東京戦、チームはどういう戦いぶりを見せてくれるのか。

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