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試合レポート

息詰まる攻防の結末は少し予想外のウノゼロスコア。11連戦終了

 

攻撃自慢のチーム同士の対戦は守備の意識も高く、結末は意外にロースコア。終盤の猛追も届かず悔しい敗戦となったが、タフな11連戦を戦いながら整理できた手応えは、今節のピッチからも感じ取れた。

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立て続けに決定機を築いた立ち上がり

前線がスピードに乗って流動的に絡みながら細やかに攻めてくるスタイルの東京Vだが、この試合では立ち上がりから大分の最終ラインの背後を狙う長いボールを多用し、下平隆宏監督も「ダイナミックなサッカーで来たのがちょっと意外だった」と試合後に振り返った。
 
序盤は東京Vの激しいプレスを剥がしながら巧みにボールを運んだ大分が多く決定機を築く。小林裕紀が最終ラインに落ちて3-5-2に変形し、渡邉新太と小林成豪が中に入っていく形。
 
2分にはいきなりチャンス。小林成がドリブルで持ち上がって香川勇気に展開すると、香川のクロスはゴール前に走り込んだ3人の攻撃陣の頭上を越えてフリーで外から入ってきた渡邉へ。だがシュートは枠上へ外れた。
 
8分にスイッチオンした一連の攻撃。伏線としてじっくりポゼッションし、食いついてくる相手を十分に動かしたところで機を見計らって高木駿が中央に長いクサビを入れると、長沢駿が左へはたき、小林成が勢いよく持ち上がる。その前を走る呉屋大翔が左に流れたところでパスを受け、スピードに乗った状態で左足シュートを放ったが、相手の決死のスライディングにも邪魔され弾道はわずかに枠外。
 
続く10分には三竿雄斗が相手を引きつけたところで香川に託し、そのスルーパスに抜け出した呉屋がライン際まで粘って折り返し。ゴール前には長沢が入ってきたが相手もよく食い下がり、シュートはこれもわずかに右。
 
13分には今節がプロデビューの相手守護神・佐藤久弥の足元を長沢が狙ったが、奪いきるまでには至らない。

 

守備を修正され細かいところでの主導権争いへ

そのうちいずれかひとつでも得点に結実すればよかったのだが、このあたりから東京Vの守備に変化が見られる。
 
一旦4-4-2のブロックを中盤でセットしながら、香川にボールが入ったときに人数をかけて潰しに来た。システムの噛み合わせ上、相手のほうがサイドで数的優位を作りやすい距離感にある。大分の後方でのボール回しに対してもそれまでのように勢いを持って突っ込むのではなく、前線がコンパクトに連動して阻みに行くようになった。
 
徐々に相手がボールを持つ時間を増やす中、17分には杉本竜士からのクロスが小池純輝に届く寸前に高木駿がクリア。状況を打開するように19分には小林成が強引に右足シュートしたが枠は捉えきれなかった。22分には杉本のシュートが止めに入った高木に当たって高くバウンドし、それをもう一度杉本が頭で折り返したところを、カバーした伊東幸敏が掻き出す場面も。
 
攻撃力自慢のチーム同士のマッチアップだったが、互いに守備の意識高く、それぞれのゲームメーカーである下田と山本理仁をケアし合う中で、中盤の立ち位置で優位性を競い合う要素が強くなる。時折、長いボールでチャンスを狙い合うが、ともに精度不足や相手の守備対応でチャンスにまでは育たない。
 
降り続く雨で濡れた芝に足を取られる場面も見られながら、どちらかがミスすれば失点につながるに違いないというスリリングなゲームが続いた。

 

一瞬のわずかな隙を突かれ失点

東京Vがじわりと主導権を握る中でも粘り強く対応していた前半終盤に、大分の守備網にわずかにほころびが生じた。
 
ボールを収めてキープする佐藤凌我には小林裕紀がしっかりついていたのだが、ラインを下げられたところで逆サイドの梶川諒太に展開され、インサイドを駆け上がってきた左SBの加藤蓮にシュートを許す。ボールはカバーリングの間隙を抜け、高木の反応も間に合わず、43分、ゴールネットを揺らした。
 
後半立ち上がりも東京Vのクロスに対応するところから。大分はボールを奪うと前線に長いフィードを送るが、相手に対応され形にならない。54分には渡邉が運んで中へ送ったボールに下田が走り込んでシュートしたが、前にいた長沢を直撃する形になり、長沢も咄嗟にヘディングシュートしようとしたが上手く反応できず。
 
58分にはこぼれ球を拾った森田晃樹に高木の頭上を越える長いシュートを放たれたが、わずかに枠外で命拾い。61分、下平監督は渡邉を中川寛斗に、長沢を伊佐耕平に交代する。64分、香川の左足クロスが弾かれたこぼれ球を下田がこちらもループシュートするが、佐藤久にスーパーセーブで掻き出されて実らない。立て続けのセットプレーのチャンスでも、シュートは枠を捉えきれなかった。

 

選手交代で激しさを増す終盤の攻防

大分が追撃のギアを上げたと見て67分、東京Vは佐藤凌と杉本を新井瑞希と石浦大雅にチェンジ。森田を頂点に配置して、激しくプレスをかけながら追加点を狙った。
 
70分、森田に対応したペレイラにイエローカードで累積3枚目。73分、2試合連続得点中と絶好調の新井のシュートは、そのペレイラがブロックする。
 
75分には東京Vが小池をバスケス・バイロンに、その1分後には大分が伊東と小林裕を松本怜とエドゥアルド・ネットに代えて、終盤の攻防は激しさを増す。
 
「サイドで数的不利になるのでそこで崩したり1対1で仕掛けたりという場面を増やせればと考えていた」という小林成が78分に仕掛けて敵陣左サイドでFKを得ると、キッカーは下田。エドゥアルド・ネットをターゲットにボールを送るが、エリア内でのこぼれ球も押し込むことが出来ない。
 
80分、東京Vは梶川に代えて加藤弘堅。激しく主導権を争う中で82分、呉屋がタックルで奪ったボールを伊佐が逆サイドに流したが、香川と下田が収めきれず、逆にカウンターピンチ。森田からボールを受けた石浦がループシュートを狙ったが枠の上へと逸れる。83分にはネットの縦パスを伊佐が展開し、小林成のパスに抜け出した香川のクロスに伊佐が頭で合わせたが、ボールは枠の右へ。

 

とにかくこれで11連戦は終了

この時間になると東京Vも全員が自陣に戻り守備を固めた。84分、下平監督は呉屋に代えて宇津元伸弥を投入し、ルーキーの機動力に最後の勝負を懸ける。アディショナルタイムは6分。大分の猛追は続くが、90+2分、こぼれ球を拾ったネットのシュートは枠の左。ペレイラが前線に上がるパワープレーも実ることはなく、試合は予想外の最小スコアで決着した。
 
今季初の無得点試合。11連戦のラストを3連勝で締めたかったと指揮官は残念がったが、とにもかくにもシーズンスタートと同時にはじまったタフな連戦をひと区切りつけて、チームはこれでようやく今季初めて、次の試合まで1週間の準備期間を得たことになる。それは通常の日程ではあたりまえのことなのだが、試合後の記者会見で下平監督がそれを思わず「中断期間」と言い間違えてしまうくらいに、現在、大分が強いられている試合のサイクルは高回転だ。
 
過密日程で高負荷がかかり、負傷やコンディション低下で戦列を離れなくてはならない選手も相次ぐ中で、プレシーズンに準備したシステムを育てる余裕もなく、課題修正と対相手戦術の落とし込みもミーティングと立ち位置確認が中心。一時は疲労もピークに達したかに見えたチームだったが、好調な選手に合わせてシンプルなシステムと戦法へと切り替えたことで、第6節に今季初白星を挙げると第7節も連勝。今節は敗れはしたが、相手の対応に遭いながらまたそれを上回ろうとする狙いと強い意志が感じられた。
 
高回転サイクルではあるが、ここからも長いシーズン。まずは11連戦の疲労を回復し、戦術を再確認して次節からの9連戦に備えたい。

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