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試合レポート

勝点3は逃したが、プランがハマって+1。今後への糧としたい九州ダービー

 

立ち上がりから優位に立ち、相手の修正に遭いながらも好ゲームを展開。もったいない失点は交代策が奏功して追いついた。PKを外して勝点3を逃したことは痛かったが、反省も含めて今後への糧を得た一戦だった。

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入りからポジショニングで優位には立ったが…

立ち位置の取り合いで先手を取った側が優位に試合を進めることが予想されたマッチアップ。
 
鳥栖は徳島戦でもそうだったように、ビルドアップを得意とするチームとの対戦では、あまり前から食いつかない戦い方をすることがある。だからこの試合の立ち上がりも、大分に期待させる位置で受けさせておきながら、クロスを上げるところやゴール前といった要所で、効率よく守る戦法に出たのだろうかと見えた。
 
試合の入りから大分は相手の間を上手く使ってボールを動かし、ゴール前の良い位置で収めるとチャンスを量産。ただ、エドゥアルドとファン・ソッコを中心にしっかり中を固める鳥栖の牙城を前に手数が増え、崩しあぐねる中でロストしてチャンスを潰すことが続いた。攻めてはいても得点の匂いは薄かったように思う。
 
だが、敵将は試合後に、守備は修正後のほうがハマったと明かした。前半の飲水タイム後あたりから仙頭啓矢の立ち位置が変わり、2トップとともにプレッシングに参加するようになった。このあたりの駆け引きは試合後に下田北斗が、自分がボールを受ける位置をどうすればいいか周囲と確認しながら進めていたと話したとおりだ。下田の動きに対して鳥栖のスライドが遅れた様子も見て取れる。鳥栖は選手間の距離を比較的広く取りバランスを崩さないため、間を使いやすくもあったのか。鳥栖のアンカー脇に大分のシャドーが良いタイミングで顔を出し、中で縦パスを通すシーンがいつもより目立った。金明輝監督としては、想定していた以上に深い位置までの進入を許したと捉えたのかもしれなかった。

 

鳥栖の修正で試合展開はさらに白熱

そんなふうに優位に試合に入ったにもかかわらず、11分に先制点を奪われる。エドゥアルドの縦パスを受けた林大地には坂圭祐が寄せたが、こぼれ球がエリア内へ。それに素早く反応した山下敬大に、ポープ・ウィリアムをかわして流し込まれた。
 
こちらも14分にはビッグチャンス。朴一圭のミスパスを高い位置で拾った髙澤優也がすかさず左足を振り抜いたが、弾道は惜しくも枠の上へ。その後も互いにセットプレーを含め複数のチャンスを演出しあうが、いずれも精度や強度を欠いてスコアは動かず。一瞬の隙を得点につなげた鳥栖と、つなげ損なった大分との明暗を分けて、前半は0-1で終了した。
 
後半になるとさらに鳥栖の守備は修正され、林大地が1トップ、その下に3人が並ぶ形となって下田と羽田健人へのケアが強まった。大分のビルドアップに対して制限は出来たが、スペースが生まれてトランジションが活発になる。大分のほうも前半のゴール前での大胆さの欠如を修正して積極性を増したため、互いにピンチとチャンスが増え、そんな戦況にともなってスタジアムのボルテージも上昇していった。

 

長沢の真骨頂炸裂。殊勲の同点弾

70分、両軍のベンチが同時に動く。大分は勝負どころで投入しようと考えていた長沢駿を髙澤に代えて1トップに。鳥栖は中野嘉大を小屋松知哉に、林を本田風智に2枚替え。
 
大分がチャンスを増やす中、鳥栖は81分に仙頭を大畑歩夢に交代。大畑が左WBに入り、小屋松を一列上げる。だが、その直後に大分に待望の同点弾が生まれた。下田の右足クロスに合わせた長沢のヘディング。真骨頂ともいうべき形で、相手のマークのズレを逃さず跳んだ192cmが、途中出場の12分後にネットを揺らした。
 
この3分前にも下田は長澤を狙って右足でクロスを上げている。それがズレたのは利き足でなかったからではなく、2人の意思疎通の問題だったということも試合後に明かされた。経験豊富な2人に2度目の失敗はなかった。
 
大分は83分に、香川勇気を高畑奎汰に、羽田を藤本一輝に交代して町田也真人をボランチに回す。スペースが生まれはじめたところで片野坂知宏監督は藤本を、得意のドリブルでゴールに迫れと送り出した。すると登場直後のルーキーは、見事にその任務を遂行してエリア内でファン・ソッコに倒されPKを獲得。逆転勝利へのビッグチャンスが転がり込んできた。

 

PK失敗で逆転勝利のチャンスを逃す

だが、藤本が自ら蹴ったPKは無念にも朴に掻き出される。VAR判定を待つために長い時間が経過し、その間に鳥栖が山下と松岡大起をドゥンガと相良竜之介に交代するという動きもあって、これがリーグ戦デビューだった大卒ルーキーが集中力を保つのは難しかったのかもしれない。鳥栖アカデミー育ちの藤本としては、なんとしてもリーグ戦初ゴールを決めたかったところだと思うが、掻き出されたところにチームメイトたちが詰めるのも遅れ、勝点3を得るチャンスをみすみす逃すことになってしまった。
 
アディショナルタイムは6分。鳥栖がドゥンガを軸に最後にパワーをかけてくる中、大分は90分に三竿雄斗をエンリケ・トレヴィザンにチェンジ。激しい攻防が繰り広げられ、勝敗がどちらに転ぶかわからない展開となる。両チームのサポーターが太鼓と拍手でそれぞれのチームを後押しする中、セットプレーを含め最後まで激しく攻め合ったが、ついにどちらのゴールネットも揺れることなく、試合は1-1で終了した。
 
好調の鳥栖に対して負けなかったこと、むしろ試合を優位に進めたことは自信につながった。スカウティングに基づいて施した準備とゲームの展開、そして選手交代が上手くハマり、PKさえ決まっていれば勝てたゲームだった。
 
指揮官はここまで2度のPK失敗について、今後は自分がキッカーを選ばなくてはと方針転換を表明した。これまでは選手の自主性に任せ、それを信じてきたが、よりシビアに臨まなくては勝点を取りこぼすことになると、反省の弁を述べる。
 
19日にはルヴァンカップGS最終節のFC東京戦。そこから中2日のアウェイ連戦で、やはり降格圏にいる仙台との直接対決が待っている。チームが上向きつつある今、絶対に勝たなくてはならない一戦だ。

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