TORITENトリテン

特別なコンテンツを貴方に

トリテンでは、ここでしか見られないとっておきのクラブコンテンツを提供いたします。試合では見ることのできない選手の素顔、ゲーム解説、特別インタビューなど盛りだくさんの内容です。是非ご利用ください!

有料コンテンツのご紹介
試合レポート

攻める鳥栖と守る大分。緊張感みなぎる好ゲームはスコアレスドローで痛み分け

 

J1残留を争う大分と、ACL出場権をつかみたい鳥栖。台風の影響により1日延期して開催された九州ダービーは、6472人の両軍サポーターを背負っての激突。鳥栖の巧みな攻撃と大分の集中した守備がせめぎ合い、白熱した試合はスコアレスドローに終わった。

試合情報はこちら

 

台風による1日延期も立ち上がりから集中

台風14号の直撃を受け、17日に予定されていた今節は急遽、試合当日の午前中に日程を1日後ろ倒しすることが決定。18日19時キックオフへと変更された。スタッフの迅速な手配により、すでに鳥栖入りしていたチームはそのまま連泊。悪天候ではあるが一応は体を動かすことも出来たようで、それぞれに対鳥栖の準備を施して試合に臨んだ。
 
キックオフ直後から距離感よくボールを動かし、2分には右サイドからダイレクトにつないで小林成豪がゴールを狙ったが、その後は徐々に鳥栖にペースを握られる。細やかに立ち位置を取りなおす巧みなポゼッションから、最終ラインの背後を狙ったり個人技で突破したりと多彩な形で積極的にゴールに向かってくる鳥栖の前に、何度もピンチを迎えた。
 
6分、樋口雄太に単独で持ち込まれてシュートは枠外。11分には小屋松知哉に刀根亮輔の裏を取られ高木駿も入れ替わられてゴールに流し込まれたが、小屋松がコントロール時にハンドしたとの判定により命拾い。16分にはやはり背後に抜け出した酒井宣福のシュートを高木が阻み、戻った香川勇気と協力して対応。18分には白崎凌兵のミドルシュートが枠上。22分には仙頭啓矢の左足シュートが枠の右。
 
相手のポゼッションに動かされ、立て続けに剥がされるシーンが目立ったため、チームは間もなくハイプレスの矛を収めて構える形へと変更。刀根の背後を狙ってくる長いボールにも刀根とエンリケ・トレヴィザンが落ち着いて対応し、高木はファインセーブも含み何度も最後の砦となって相手の攻撃をしのいだ。

 

全員で粘り強く守るが攻撃が繰り出せない

ほぼ相手ペースで進んだのは、ボールを奪ったあと攻撃を成立させられずにいたからでもある。構えた状態でも守備のアグレッシブさは損なわず、マイボールには出来て距離感も悪くないのだが、速い攻撃を仕掛けようとしても、切り替えの早い相手にボールを持ったところを潰されたり、スペースを使おうとして出し手と受け手の呼吸が合わなかったり。もっと高い位置で奪えるのが理想だったが、長いボールを多用してくる相手に押し下げられる時間が長く、苦しい展開となった。
 
42分には小屋松が中に絞っていた中野嘉大へ出し、中野のスルーパスを受けた白崎がシュートを放つが、高木が必死に寄せ、最後はエンリケが掻き出して間一髪。そこからの右CKの流れで小屋松の放ったシュートは長沢駿が体を投げ出してブロックした。
 
前半は鳥栖のシュート7本に対し、大分は0。それでも粘り強く無失点で折り返すと、後半の立ち上がりには再び大分がいい入りを見せた。長沢のスルーパスから下田北斗がクロスを送るが朴一圭にキャッチされる。

 

選手交代で強度を維持し緊迫のゲームは続く

片野坂知宏監督は61分、長沢に代えて伊佐耕平。64分には小林成と渡邉新太を町田也真人と野村直輝に代えて前線3枚をリフレッシュした。
 
66分には大畑歩夢のスルーパスに抜け出した酒井がクロスを送り小屋松が合わせてネットを揺らすが、VARチェックも経て酒井がオフサイド判定となり、またも命拾い。
 
前線3枚のコンビネーションでそれまでよりも攻撃が活性化された大分は、右CKからチャンス。下田のキックは相手に掻き出されたが、そのこぼれ球をダイレクトに下田が狙って、大分としてはこの試合唯一のシュートを放つ。弾道はクロスバーぎりぎりの面白いところへと飛んだが、朴にパンチングでクリアされた。続く右CKにもニアで三竿雄斗が合わせたが、今度は枠の上。
 
71分には金明輝監督が小屋松を山下敬大、小泉慶を飯野七聖へと2枚替え。79分には中野嘉のスルーパスから酒井が折り返し、飯野がシュートするが枠は捉えきれない。鳥栖の攻撃に翻弄されながらも、その精度不足に助けられた場面も多々あった。
 
80分にはファン・ソッコに代わり、左太腿に白いサポーター姿の島川俊郎が古巣戦のピッチへ。88分には大畑に代えて中野伸哉が投入された。

 

守備には手ごたえも切り替えから攻撃への修正は急務

今夏、主力だった林大地や松岡大起が移籍した鳥栖だが、樋口のアンカーに、スピードがあり機動力の高い前線4枚と両WBが流動的に絡む3-5-2システムで見事な組織的サッカーを展開している鳥栖の攻撃は、守備の的も絞りにくく厄介だった。
 
終盤まで多くの時間帯でボールを握られ、攻め込まれたりシュートを許したりする場面が目立ったが、集中した組織的守備は崩れなかった。高木は「回されることにそれほどストレスを感じていなかったから守りきれた」と無失点状態を維持できた試合を振り返る。
 
その守備を続けながら、いまの大分には勝点3が必要だった。だが、点を取りに行くために上手くいっている守備のバランスを崩せば、勝点1さえ失ってしまう危険性もある。
 
アディショナルタイムは5分。片野坂監督は増山朝陽に準備させ、90+4分、小出悠太に代えてピッチへと送り込んだ。増山のプレーからは、残り時間に全力を懸けてリスクを負い、勝点3を取りにいく姿勢が見て取れた。単独での果敢な仕掛けからCKのチャンスを立て続けにゲット。攻勢と守勢に分かれながら緻密な均衡を保ってきた九州ダービーの一戦は、大分が勝負に出たことにより最後の山場を迎えたが、結局どちらのゴールネットも揺れることはなく、試合は0-0で終了した。
 
勝点3が欲しい状況ではあるが、アウェイでの連敗は12でストップ。チームとして完成度の高い今季の鳥栖の攻撃に対し、守備の戦術理解度の高さが際立った手ごたえは感じられた。一方で、攻めることが出来ずシュート1本に終わったことは大きな課題だ。次節の相手も堅守の名古屋。ここ2戦とは相手のシステムも異なる。J1残留を目指し、すぐに修正に取り掛からなくてはならない。

特別なコンテンツを貴方に

トリテンでは、ここでしか見られないとっておきのクラブコンテンツを提供いたします。試合では見ることのできない選手の素顔、ゲーム解説、特別インタビューなど盛りだくさんの内容です。是非ご利用ください!

有料コンテンツのご紹介