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つねに探り続ける「いま自分に出来ること」。町田也真人が町田也真人になった過程

どのチームでも自身の価値を組織に還元できる

今季、完全移籍で加入したMF。プロ生活も9年目となり、うち7シーズンはJ2で過ごしたが、そのプレースタイルはカテゴリーを超えた多くのJリーグファンに認識されているはずだ。つねに気の利いたところに顔を出す細やかで献身的なポジショニングと、決定機に絡む判断力。クレバーな立ち回りを戦力として望んだチームは、これまでにも少なくなかったはずだ。
 
大卒ルーキーとしてプロキャリアをスタートした千葉では、3年目以降に出番を増やすと徐々に主力として存在感を増し、最後の2シーズンは10番を背負って戦った。長らくトップ下の選手というイメージだったが、フアン・エスナイデル監督からはサイドのポジションでも起用され、そこでも自身の“らしさ”を発揮していた。昨季は松本に移籍して自身初のJ1に挑んだが、度重なる負傷に見舞われる。それでもシーズン終盤には3-5-2の中盤で出場し、反町康治監督が描いていたプランの中で、その期待に応えた。
 
多彩な監督の下でプレーした千葉、移籍先の松本、そして今季の大分。どのチームのどこで起用されても、町田也真人は町田也真人として自身の価値をチームに還元しているように見える。本人は「いえいえ、全然ですよ。意外と自分では器用ではないと思っています」と笑うが、今季もチームに合流して間もない時期から、スムーズに戦術に溶け込んでいた。大分のサッカーにフィットしやすいタイプということもあるのだろうが、それにしても初めて一緒にプレーするチームメイトたちとの呼吸が、こんなにも合うものかと驚かされた。
 

片耳難聴を抱え、つねに立ち位置を意識してきた

昨年10月、町田は右耳が聞こえないことを、自身のSNSで初めて明かした。2歳か3歳の頃、誤って自分で耳かき棒を刺してしまい、右の聴力を失ったという。それにまつわる記事を読んだときから彼のプレースタイルについてひとつの仮説を立てていたので、機会があれば訊ねてみたいと思っていた。
 
とはいえデリケートな問題なので、移籍してきたばかりの町田にその話題を持ちかけていいものかどうかはかなり逡巡した。一度目に思い切ってその話を聞いたのは鹿児島キャンプ中のことだ。
 
町田自身、これまでにもいくつかの場で「耳が聞こえなくて嫌だなという気持ちになったことはない」と語っている。面倒だと思ったのは学校で内緒話をしようとした友人に右肩を叩かれて耳打ちされそうになり、左側から聞こうと向きを変えるときくらいだったという。
 
日常生活でもつねに相手との位置関係に留意していた。たとえば誰かとジョギングをするときにも、相手の右側を走るようにコースを取る。仲間と食事に出かければ、席の位置を考える。苦にすることなくそういう習慣を持つことで、彼のサッカーにおける卓抜したポジショニング能力も、磨かれてきたのではないか。
 
そしてそこには町田の持ち前の、他者への配慮を怠らない人格が、前提としてある。そういったすべてを実にさりげなくスマートにやってのける能力は、指導者である父や母の影響か本来の性格かはわからないが、洗練されたレベルに到達していると感じる。一歩間違えば不謹慎だと叱られそうな発想だが、町田は嫌な顔をすることなく、真摯に取材に応じてくれた。
 
166cm59kgといいう体格も、サッカー選手として恵まれているとは言い難い。だが、現在の町田は、その体格さえも生かしたプレースタイルをものにしているように見える。何事に対しても、置かれた状況、自分自身の現状を前向きに受け入れ適応していく町田の生き方は、そのまま現代サッカーの申し子のようだ。ただし、決してすべてが順調だったわけではない。ある時期にはポジションを失い、それを取り戻すためにそのときの自分を克服した過去があることなども、あわせて認識しておかなくてはならない。

 

ピッチ内外で探り続ける「いま自分に出来ること」

町田はピッチ外での活動にも積極的で、今季からチームメイトになった野村直輝とともに、6人のフットボーラーが社会貢献活動を行う『F-connect』メンバーとして児童養護施設の訪問などを続けてきた。また、自身が代表を務める『YAMATO SOCCER SCHOOL』でも、サッカーを通じて子供たちにさまざまなことを伝えている。コロナ禍によりチームが休止期間に入って間もない頃には、交流できずさみしい思いをしているファンやサポーターのために、自らzoomミーティングも企画した。
 
人のため、社会のため、世界のために、絶えず「いま自分に出来ること」を探り続け、実践している。その精神は、ピッチで仲間のためにポジションを取り直しながらゴールを目指す姿勢にも通じる。
 
「サポーターやスポンサー、支えてくれている人がいて自分が成り立っているという自覚があって。自分がプロサッカー選手になれたのは仲間のおかげ。だから恩返しというか、そういうところはつねに、特に気を配っているというわけではないけど意識はしていますね。サッカー選手じゃなくなったらそういうことも出来なくなっちゃうのかな、とか思う自分も怖くて。出来ることを出来るうちにいっぱいやっておこうと思っています」
 
そして、そういった活動やプレーのひとつひとつを通じて、自身も大きなリターンを得ていると町田は話した。
 
ふたつの公式戦を終えたところで中断していたJ1リーグが、いよいよ7月4日、再開する。今季、大分での町田がどのように機能しチームに貢献していくか。再びその姿が見られるのももうすぐだ。
 

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