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試合レポート

ホームでのラストゲーム。J1で存在意義を示すプレーが「2-0」へと結実した

 

本来目指してきたものが、見事に体現された前半だった。試合の入りでメンタルコントロールを誤った相手を上回り、前半で2点をリード。選手交代で盛り返されたが、ホーム最終戦で勝ちたい思いは、無失点勝利へと結実した。

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モチベーション面でのマネジメントに差

ともに前節の結果をもって来季J2降格が決定している同士の対戦。大分にとってはホーム最終戦で、前日には6年にわたりチームを率いてくれた片野坂知宏監督の今季かぎりでの退任も正式に発表された。天皇杯も残しているが、今季のチームが昭和電工ドーム大分で戦うのはこれが最後。敗れれば最下位転落の可能性もあり、今季の不甲斐なさに輪をかけてしまうことになる。コロナ禍2年目の苦しいシーズンにも応援し、支えてくださった方々の前で、なんとかJ1でのトリニータの存在意義を示したい、指揮官や高木駿キャプテンのそういう試合前の呼びかけにより、チームは士気を高めてピッチに立った。
 
一方の横浜FCは、勝てば最下位脱出できるチャンスでもあったが、この難しいシチュエーションにあたり、上手くモチベーションをコントロールできなかったようだ。前半はふわふわと弱く、戦う意思の希薄に見えるプレーで大分に主導権を明け渡す。夏の加入以後、チームの復調に貢献していたサウロ・ミネイロとガブリエウがコンディション不良でメンバー外だったことも、布陣の強度を落としていたかもしれない。
 
大分はいきなり4分にピンチ。自陣でボールを失い、まずは渡邉千真にシュートされるがこれは高木駿が体を張る。そのこぼれ球を押し込もうとした松浦拓弥のシュートは、すかさずカバーに入ったペレイラがゴールぎりぎりで掻き出す“ビッグセーブ”。

 

野村、“幻”も含め3得点に絡む活躍

だが、その後は完全に大分のペースとなった。ここ最近、ミラーゲームを苦手として勝点を落としており、今節も要所を抑えられれば苦しい展開になるかと思われたが、今節は違った。最終ラインの左右が後方から関わることで数的優位を作り、サイドやシャドー、頂点までが流動的にポジションチェンジしながらサイドを起点に攻め込む。今季は中盤や最終ラインの主力が入れ替わったため、かつてのように自陣深くに引き込んでのビルドアップにはチャレンジしなくなったが、攻撃のスイッチを入れてからの崩しは、これまでチームが目指してきた本来の姿に近いものを体現していた。
 
先制は8分。増山朝陽のスローインを高い位置で受けた野村直輝のマイナスのクロスに、町田也真人が飛び込んで相手と交錯しながら奪った。自らの第2子誕生を飾る町田の今季8得点目を、チームメイトたちが並んでゆりかごで祝う。17分には伊佐耕平のクロスから野村がテクニカルなループシュートでネットを揺らしたが、VAR判定の末にオフサイドとなりゴールは認められず。
 
横浜FCは大分の攻撃に奪いどころを定めることが出来ず、自陣でも守備の強度が出ない。ボールを奪っても連係不足で、攻撃の形が見える前に大分の守備に潰された。さらに27分には野村の浮き球のクロスを処理しようとした高橋秀人のバックパスが、スベンド・ブローダーセンの脇を抜けてゴールへと転がり込み、痛恨のオウンゴールとなる。

 

選手交代で横浜FCに主導権を奪われる

横浜FCはハーフタイムにメンタル面からチームの立て直しを図ったが、2-0で折り返した後半も、入りは大分のペース。48分にはボールを奪った伊佐の落としから野村がシュートし、惜しくも右ポストを叩いた。
 
大分は51分、野嶽惇也が足を痛め、藤本一輝と交代する。その1分後には横浜FCがひさしぶりのビッグチャンス。逆サイドからのクロスにマギーニョが飛び込んだが、シュートは枠を捉えきれなかった。
 
55分には横浜FCがテコ入れの3枚替え。武田英二郎を高木友也、アルトゥール・シルバを安永玲央、渡邉千をジャーメイン良へと代えると、個々の迫力を醸し出した。ジャーメインの駆け引きや安永のドリブル突破で大分の守備組織を掻き乱し、疲労も見える大分が徐々に距離感を保てなくなると、流れは一気に横浜FCへと傾いていく。63分には負傷したペレイラをエンリケ・トレヴィザンに、伊佐を呉屋大翔にチェンジして大分も主導権を奪還しようとするが、2点を追う横浜FCの勢いに押される展開は変えられない。
 
68分には高木友が左サイドで粘り自らシュートも枠外。さらに69分には松浦に代えて中村俊輔を投入し、横浜FCの追撃は続く。大分は76分、野村を渡邉新太に、小林裕紀を羽田健人に交代し、勢いと強度の回復を狙った。

 

終盤は大味なゲーム内容に

77分には安永のシュートを高木駿が阻止。79分にはジャーメインの強烈なシュートがポストを叩いた。攻め立てる横浜FCは80分、マギーニョに代えて近藤友喜。だが、88分の松尾佑介のヘディングシュートも枠を捉えきれない。
 
ほぼ一方的に攻められながら、大分もカウンターで3点目を狙うのだが、なかなか前線にボールが収まらない。89分にはボールを奪った町田が自ら攻め上がってブローダーセンとの1対1を迎えたが、慎重に切り返そうとしたところをブローダーセンに潰された。
 
オープンな展開となった終盤は大味な内容に。5分のアディショナルタイムにも多くの得点機が生まれた。下田北斗のFKからの藤本がヘディングシュートが枠の外、松尾のシュートが枠の上、渡邉新のシュートはブローダーセンが掻き出す。結局どちらのネットも揺れず、試合は2-0で終了。大分は5試合ぶりの白星を挙げ、横浜FCは最下位脱出に失敗した。
 
横浜FCの右CBを務めたのは大分アカデミー出身の岩武克弥で、こういう状況でなければ彼の成長ぶりも確かめられる一戦だったことだろう。横浜FCは次節での挽回を誓い、大分は慌ただしくホーム最終戦セレモニーの準備へと移った。

 

来季J2でのマッチアップはどうなるか

残留争いのプレッシャーからの解放や不調の相手とのパワーバランスもありながら、特に前半は、リスクを恐れずに攻め上がるアグレッシブさを体現できたナイスゲームだった。その中でも、たとえば後半、左サイドのスローインでスロワーをCBの三竿雄斗が務めキープ力のあるWBの藤本が受け手になるなど、この組み合わせで準備したことがうかがえる場面も見られた。
 
来季はJ2で対峙する両軍だが、大分は指揮官が代わり、横浜FCの早川知伸監督も辞意を表明して慰留されているようだ。カテゴリーが下がる中で、現有戦力をどれだけ維持できるかも気になるところ。新シーズンを迎えるにあたり、少しでも積み上げのある状態で1年でのJ1復帰を目指したい。
 
次節はついに、今季の最終節。大分はアウェイで柏に挑む。また外国籍選手の多い、ミラーゲームの予想される相手だ。そのあとには天皇杯も待っている。本当のラストゲームは、まだ先の話だ。

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