TORITENトリテン

試合レポート

守備を固めた相手を前に1点が遠かった。主導権は握ったが+1止まり

 

ほとんどの時間で主導権を握り、相手をシュート2本に抑える展開をものにしたが、ゴール前を固める守備を最後に打ち破れず、得たのは勝点1止まり。さらなる攻撃力向上が求められる。

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立ち位置の駆け引きで主導権を握る

4-4-2同士のマッチアップで、前半はエドゥアルド・ネットが最終ラインに入ってビルドアップに参加する際、下田北斗が一列落ちる形で、スタンドからは3-4-2-1に変形しているように見えていた。相手とどうミスマッチを作るかの駆け引きもあり、連戦の疲労や暑さとの兼ね合いも考えながら選手たちが判断してのポジショニングで、それによってボールもしっかり持て、主導権を握るまでに時間はかからなかった。
 
13分にはエドゥアルド・ネットの縦パスをスイッチに攻め、高畑奎汰のクロスに長沢駿がダイレクトで合わせたがわずかに枠の左へ。先制は16分。三竿雄斗と高畑の連係から得た左CKを下田が蹴り、相手と競り合いながらエドゥアルド・ネットの放ったヘディングシュートがゴール左隅を揺らした。
 
アウェイ連戦で先発5人を入れ替えた大宮は、プレスがハマらず耐える時間を過ごすが、33分、小野雅史の縦パスに抜け出した小島幹敏を、ペレイラと伊東幸敏が潰しきれず。小島がボールを収めなおしてゴール前でフリーになっていた富山貴光に出し、富山が右足で流し込んでスコアは振り出しに戻った。

 

後半は圧を増して相手を押し込む

同点弾で勢いを得た大宮は35分にも武田がシュートを放ち、守備にも積極性を取り戻す。大分も変わらず攻め、39分には伊佐耕平のポストプレーから伊東がクロスを送ったが長沢にはわずかに合わず。
 
下平隆宏監督は負傷のあった長沢を呉屋大翔に、中川寛斗を渡邉新太に代えて後半をスタート。もっとシンプルに2トップに裏を狙わせようと指示を出して選手たちを送り出した。逆に大宮は大分にボールを握られながら、自陣低い位置にブロックを敷いてスペースを消す。
 
47分には右サイドの粘り強いポゼッションから下田が出したパスに走り込んだ高畑が左足シュート。前節・千葉戦の先制弾を彷彿させる一閃だったが、ディフレクションの末にポストを叩いた。弾道は相手の肘あたりに当たっていたが、ハンドは取ってもらえず。

 

呉屋vs南、白熱の攻防

54分には三竿を起点に左サイドのコンビネーションから角を取った呉屋を経由して高畑がエリア内まで進入。58分には右サイドでボールを動かして最後は下田がミドルシュート。攻め続けるが、ゴール前を固める大宮の守備を割ることが出来ない。
 
多くの時間帯でボールを握り大宮のカウンターの芽も摘む大分を前に、62分、大宮が富山に代えて菊地俊介を入れ攻撃にテコ入れする。なおも攻める大分は65分、右CKの流れから下田の送ったクロスに茂木力也と競り合いながら呉屋が飛び込んだが、見事に枠を捉えたシュートはこれも見事に、この試合でJリーグ最多の661試合出場となった南雄太のファインセーブに掻き出された。

 

大宮のカウンターを防ぎつつ攻め続ける

大宮は71分、矢島慎也と中野誠也を大橋尚志と柴山昌也に交代し、カウンターの増強を図る。
 
やはり攻め続ける大分。73分にはセカンドボールを拾って巧みにエリア内まで持ち込んだ呉屋がシュートするが、またも南の右足に阻まれる。そのこぼれ球からの渡邉のシュートもゴールにはつながらない。
 
77分には伊佐に代わって藤本一輝が前線に入る。78分には霜田正弘監督が田代真一と小島を新里亮と河田篤秀に代えて、反撃を狙う。79分には疲労した弓場将輝に代わり小林裕紀。両指揮官のベンチワークも白熱する。
 
大宮は83分、柴山がグラウンダークロスを送るが三竿がスライディングで掻き出した。85分には茂木のクロスをペレイラがクリア。87分の柴山のスピードに乗った持ち上がりも、戻ったペレイラが阻止する。大宮も攻勢を増すが、大分の守備は崩れない。

 

フィニッシュ直前の絡みをもっと増やしたい

88分には三竿がアーリークロスを入れるが相手に弾き出される。89分には高畑のクロスからのこぼれ球を呉屋がボレーするがこれもクリアされた。
 
攻めに攻めてもゴールが割れない状況に、90分、下平監督は苦渋の決断。後半から出場させた渡邉をベンチに下げ、梅崎司を投入する。
 
アディショナルタイムは4分。勝点3が欲しい大分と、勝点1を持ち帰りたい大宮の激しい攻防が続く。押し込んだ状況から90+3分、伊東がゴール前に送った浮き球に三竿が決定機を迎えたが、体勢が整わず伸ばした右足でのシュートは枠の上へと逸れた。
 
試合は1-1でタイムアップ。相手をシュート2本に抑える展開で、勝点2を取りこぼした感の強い結末となった。攻防の中での駆け引きの詳細は、下平監督と選手たちのコメントにも生々しい。前半の丁寧なポゼッション時にも、後半のシンプルな攻撃においても、呉屋の個人技や長沢の一発に頼るばかりではなく、ゴール前での崩しやクロスを入れる際に局面で関わる枚数を増やしたいところ。
 
次節は中3日でアウェイ山形戦。今節は疲労の見えるメンバーも多かった。混戦状態のJ2をタフに勝ち上がっていくために、いまは控えやベンチ外に甘んじている選手たちも含め、さらなる奮起が求められる。