伊佐の今季初ゴールで先制。最後は相手のパワーに屈するも連戦のアウェイで+1
粘り強く戦い先制したが、続々投入される外国籍選手のパワーに押され、終盤に失点。最後の最後で追いつかれたが、ハードな連戦の中、アウェイで貴重な勝点1を手にした。
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今節は右サイドから攻めてきた札幌
札幌は荒野拓馬を頂点に置く3-4-2-1。シャドーにはチャナティップと駒井善成が並び、小柄で機動力のある前線でスタートした。ベンチには長身の外国籍選手がずらりと並んでおり、追う立場になればどういう選手交代が行われるかは一目瞭然だった。大分はリーグ戦5試合ぶりに松本怜が先発し、故郷のピッチに帰還。それ以外は前節の横浜FM戦と同じスターティングメンバーで臨む。
前節とは異なるミラーゲーム。流動的な相手の前線に対し、アウェイチームの大分はブロックを構えた。そうしながら、ボールを奪ったら松本怜が相手の左サイドの裏を突く狙いだった。昨季アウェイでの対戦も、キックオフ直後に相手のハイプレスの背後で起点を作り2分に先制している。どういう状況であれミハイロ・ペトロヴィッチ監督はスタイルを貫いて戦おうとするので、きっと今節も昨季と同様の作戦は奏功するだろうと思われた。
だが、そこで裏をかかれた。ミシャの攻撃的スタイルは貫かれてはいたが、いつもとは異なり、松本と岩田智輝、そして三平和司の右サイドを警戒するように、札幌の左サイドは上がりを控えてきた。代わりに深井一希や宮澤裕樹が3バックの中央右に落ちて右サイドを押し上げ、進藤亮佑をゴール前にまでアグレッシブに攻め上がらせた。それを見た松本は当初予定していたのとは攻め方を変更する。左サイドでは三竿雄斗、香川勇気、髙澤優也らが、しばしば体を張りながら相手の攻撃に対応した。
セットプレーから伊佐の今季初ゴールで先制
立ち上がりから多くの時間帯でボールを握られ、シュートやクロスも許したが、ムン・キョンゴンの安定したセービングや鈴木義宜を中心とした守備はゴールを割らせない。昨季も個々の力量の高い相手選手たちに主導権を握られながら辛抱強く戦い勝利した記憶が蘇る。
大分の集中した守備に遭い相手が決定機を仕留めきれずにいると、30分を過ぎたあたりから、次第に大分も好機を築きはじめる。36分には隙を見て松本が岩田を使い右サイドを攻略した。37分にはボールを奪った髙澤が自らドリブルで持ち込んでシュート。これは菅野孝憲に弾かれ、伊佐耕平は咄嗟のこぼれ球に反応できない。42分には香川の仕掛けからクロスも供給したが、相手に対応される。
得点は前半アディショナルタイムに生まれた。長谷川雄志の2度目の右CKに、ゴール真正面でフリーになった香川が合わせるが、菅野に防がれる。そのこぼれ球を今度は逃さずに、伊佐が押し込んだ。伊佐の今季初ゴールにチームは上々の雰囲気となって、試合を折り返す。
前線にパワーをかける札幌に対し戦い方を問われる
双方とも交代なく入った後半、ビハインドになった札幌は激しく攻め立てる。だが、ムン・キョンゴンの好セーブや鈴木たちのブロックに阻まれてゴールを奪えないと見ると、57分、深井に代えてジェイを投入。荒野がボランチに移りジェイが頂点に入って、一転、長身をターゲットとした攻撃へと切り替えた。
ジェイにボールを集める札幌が前への意識を高めた66分、片野坂知宏監督は三平に代えて田中達也。前がかりになる相手の背後にスピードを生かして抜け出すことを狙った。すると69分、ペトロヴィッチ監督は宮澤を下げてアンデルソン・ロペス。右シャドーに入り、駒井が荒野とボランチを組んだ。さらに福森をベンチに下げ菅大輝を一列落とし、左WBには金子拓郎を配置して、ベンチワークで猛追を仕掛ける。
片野坂監督にとっては1点のリードを守るのか追加点を狙いに行くのかの判断を迫られる難しい展開となった。中3日で迎える次節・柏戦のことも考慮しなくてはならない。71分には疲労した伊佐を渡大生に交代する。
パワーで突き破られて決壊するも勝点1は譲らず
金子のクロスを跳ね返し、アンデルソン・ロペスのFKは壁で防ぎ、荒野のヘディングシュートは枠の上に逸れて、大分にとっては耐える時間が続く。85分まで我慢して、片野坂監督は3枚替えを敢行した。三竿と香川と島川俊郎に代えて羽田健人、刀根亮輔、藤本一輝がピッチに送り込まれる。刀根が左CB、羽田がボランチ、田中達也が左WBに移って右シャドーに藤本。守備の強度を高めながら前線で藤本にタメを作らせ時間を稼ぐ算段だった。
87分には駒井に代えてドウグラス・オリヴェイラ。札幌のパワープレーは容赦なく、ベンチに控えていた外国籍選手総出となる。88分、左サイドで仕掛けた田中達也のクロスにファーで藤本が合わせるが、枠を捉えきれない。その1分後、ルーカス・フェルナンデスに突破を許した。ルーカス・フェルナンデスはエリア内のアンデルソン・ロペスとのパス交換からシュートを沈め、ついに札幌が同点に追いつく。
5分のアディショナルタイムをどう過ごすかも難しい判断になった。守備のバランスを崩さずに攻め返すことで相手の攻撃機会を削りたい。菅のクロスにジェイが飛び込むのをしのぎ、高い位置でボールを奪った長谷川からのパスを受けた渡がゴールを狙うなど、札幌の追撃との駆け引きの中でタイムアップまで戦い続けた。
追撃する相手がこうしてパワーをかけてくることもわかっていたし、理にかなった選手交代も出来た。だが、外国籍選手の強度に押し破られて決壊してしまった。そういう意味では非常に悔しいドローだ。それでも、前節から中3日でのアウェイ戦で勝点1は収穫と言える。次は3連戦の3戦目。この2試合で好調だったメンバーが出場できるかどうかも気になるところだ。
