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試合レポート

力量とチーム状態の差が明白に。首位・川崎Fに歯が立たず

 

チーム状態の良好な相手との落差がゲーム内容に表れ、メンタル的にも大きな負荷となった。苦しい日程の中で、クラブ間格差は浮き彫りになる一方に思われる。この苦境を乗り切った先に、チームは何を得るか。

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好調な相手に自分たちのスタイルで挑むも…

ルヴァンカップGS第2節G大阪戦で今季初出場したムン・キョンゴンが、リーグ戦初出場。同じくG大阪戦でいいパフォーマンスを見せた刀根亮輔が、コンディション不良の岩田智輝に代わり右CBに入った。ここ数試合の先発とベンチスタートを合わせた18人の顔ぶれを見ても、戦力のやりくりに腐心していることが自ずと浮かび上がる。
 
7連勝中で首位の川崎Fは今節、これまで全試合出場を続けてきた家長昭博と山根視来が欠場。右の縦関係はジオゴ・マテウスと小林悠となった。
 
力の差があることも前提として臨んだ一戦だったが、実際にマッチアップしてみるとその差は予想以上だった。単純な戦力個々の力量差という問題ではなく、状態がよく快進撃中のチームと状態がよくなく連敗中のチームとがぶつかったときに、その落差が自ずと明るみに出たという印象だ。
 
開始直後に髙澤優也が田中碧のトラップの乱れを突いてボールを奪い反転シュート。アグレッシブな入りを見せたが、その後はバランスを保ちつつ、5-4のブロックで得点力の高い相手の攻撃に備える。川崎Fはその好調ぶりを体現するように、最終ラインから鋭い縦パスを入れ、受けたら前を向いて仕掛けたり連係して守備網を崩しにかかったりと積極的で楽しげだった。
 
大分は田中達也と渡大生が献身的に守備に走りながら、こちらも原点に帰ってビルドアップにトライするが、川崎Fに比べるとことごとくプレースピードが遅い。選手層の薄さが増幅させる連戦の疲労や、戦力を入れ替えざるを得ず連係が熟していないことによる判断の遅れから、攻撃は形になる前の段階で、相手の素早いネガティブトランジションにコースを消され、入れてもことごとく潰されていく。

 

続くミスからの失点。未熟な連係も露呈

最初の失点は早々の5分。レアンドロ・ダミアンのポストプレーから小林悠がはたき、脇坂泰斗が中央でタメて、寄ってきた大島僚太には出さずに三笘薫がシュート。試合後に自ら「ミスキックだった」と振り返った一撃は、ムン・キョンゴンの逆を突いてゴールネットを揺らした。
 
その後もミスからピンチを招き、体を張ってそれをしのいでいたのだが、24分に2失点目。ビルドアップしながら次第に相手にハメられて自陣でサイドに追い詰められ、苦しい状況からのバックパスをレアンドロ・ダミアンに拾われてゴールへと流し込まれた。
 
パスがずれたり、コンビネーションが合わなかったりとおぼつかない攻撃の中でも、31分には長谷川雄志のサイドチェンジから小出悠太が頭でつなぎ、渡がチャンスを迎える。谷口彰悟にケアされたが、目指す形の片鱗は見えた。
 
だが、それも単発。川崎Fの中盤の細やかなポジショニングは見事だったが、連係の育っていない大分にはオートマチックなものも気の利いたパスコースやスペースメイクもなく、ただ行き当たりばったりのテンポの遅い各駅停車に感じられた。43分、なんとかこの苦境を打開しようとするかのように、鈴木義宜が自らスペースを突いて持ち上がる。勇敢なキャプテンは右サイド裏のスペースへと縦パスを供給し、そこに流れた髙澤が味方の上がりを待ってクロス。田中達も相手を引きつけながらその背後で渡がダイビングヘッドを狙ったが、わずかに届かなかった。

 

後半シュート0本。それでも続く今季、何を得るか

後半はさらに攻守表裏一体でクオリティーの高さを見せる川崎Fのワンサイドゲームになった。55分、片野坂監督は渡に代えて小林成豪を投入。62分には両軍が動き、川崎Fは小林悠と脇坂を旗手怜央と守田英正に交代。大分は小出と三竿雄斗を下げて三平和司と高山薫。田中達が左WBに移り、三平がシャドー、高山が右WBに入った。
 
三平が入ったことで攻撃に連動性が生まれるが、67分には三笘の浮き球スルーパスから大ピンチ。それを受けた大島のヒールパスを、中盤の底から走り込んだ田中碧がシュートする。最後まで諦めずに鈴木がスライディングし、放たれたボールはクロスバーに弾かれて命拾いしたが、相手の力量の高さに翻弄された場面となった。
 
77分、川崎Fは大島と三笘を齋藤学と宮代大聖にチェンジ。攻撃の形を作れず防戦一方となった大分は85分、田中達と島川俊郎を伊佐耕平と佐藤和弘に代え、伊佐の1トップに髙澤と三平のシャドーとなる。左WBには小林成が回った。だが、伊佐らの奮闘も有機的には結実せず、川崎Fの強力な攻撃に晒され続ける。87分には登里享平を車屋紳太郎に代え、川崎Fは最後まで大分に主導権を渡さなかった。
 
スコアは0-2だが、内容的にはもっと大きな差を突きつけられた。プレーしていた選手たちも、余計に疲労をつのらせる展開だったと思う。これでリーグ戦5連敗。負傷者が復帰する目処はなかなか立たず、限られた人数とタイプの戦力で過密日程をこなすのは厳しいタスクだ。
 
最近、メンバーから外れている小林裕紀は、練習後にいつも自分の周囲のポジションの選手たちと細やかに互いの意思をすり合わせていた。特に布陣の中心であるボランチには必要な仕事だろう。いまは練習が非公開なので実態がわからないが、中2日、中3日で次の試合がやってくる中で、選手同士でそうやって意思疎通することは出来ているのだろうか。
 
選手の心身にも重い負担が強いられる今季の日程とレギュレーション。だが、コロナ禍の中、過酷なJリーグは続いていく。そして、チームは原点を見失うことなくチャレンジを継続している。片野坂監督は憔悴しきった様子で試合を振り返った後、それでも次に向けて気丈に前を向いた。

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